5月1日、とうとう令和時代が幕を開けました。
新時代の到来です。

願わくば、これから先の未来が幸多いものであることを祈るばかりです。

さて、それに伴い当ブログでもそれに相応しい題材を取り上げようと考えていたのですが、如何せん推敲が進まなかったためしばらくお蔵入りにしようかと思います。
そもそも時代の始まりに沿う内容なのか、自分自身では判断しかねましたし…。

とりあえず格好つけるのはやめて、書きたいものから書いていくことにします。

今記事の主題は、次回より舞台の中心となる"庭園"についてです。
ソウマトウ先生のツイッターでは、"庭園迷路編"と銘打っていますね。

実はこの庭園について、前々から興味を持っていました。

なぜなら、庭園の様式によってどの地域がモデルになっているのかが推測可能だと予想していたからです。

一応作品全体の雰囲気から、欧州が大体のモデルと窺うことはできます。
また、作中に登場するキャラクターの名前が英名であることから英国が舞台なのではと踏んでいました。

でも、いまいち決定打に欠けていたんですよね。

例えば、第25話に出てきたガレット・デ・ロワはフランスのお菓子ですし、すすコートを着る時に使うロビンマスクという被り物は中世でペスト医師が診察で用いていたものと似ていて、イタリアが発祥です。

欧州域の文化は相互に影響を受けているため、明確にどの様式がどの国に当てはまるなどということは言い切れません。
なかなか他地域で暮らしている者から見ると判別が難しいのが実態です。

ですが、東アジアでも日本と中国と韓国がそれぞれ違うように、欧州も細かく見ていけば違いを見出すことは可能であります。

それこそが第26話で描写された庭園の様式だったわけです。

今回は洋式庭園に関する蘊蓄を交えながら書いていきたいと思います。
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表題の"イングリッシュガーデン"ですが、その名の通り英国の庭園様式を指す言葉です。

一口にイングリッシュガーデンといってもその内容は時代によって微妙に異なるのですが、大まかに言えば、
『植栽を自然な形に配置・育成し、自然の風景美を追求した庭園』
となります。
18世紀頃に成立しました。

ですので、一般的に洋館や大金持ちの屋敷を想起した時に思い付く、左右対称だったり幾何学的な模様をした庭園・人工的な形にカットされた生け垣や低木が配置された庭園は、厳密的なイングリッシュガーデンとは呼びません。

これらはイタリア式庭園とかフランス式庭園と呼びます。
こちらは14~16世紀にかけて成立しました。
ベルサイユ宮殿に代表される平面幾何学式庭園が特に有名です。

さて、これらの情報に留意しながら第26話を読んでみると、一つの違和感が生じます。

扉の前の噴水、角が垂直に刈り取られた生け垣、巨大な彫刻……

全然イングリッシュガーデンとは呼べる様式ではありません。
どちらかと言えばイタリア式庭園やフランス式庭園に近い形だと見受けられます。

これは一体どういうことなのだろうかと思いました。
英国がモデルだという推測が間違っていたのか、それとも重大な見逃しをしているのか……

ところが、答えはひょんなところから見つかりました。

私の手元に造園の本があるのですが、その本には初期英国式庭園の代表として
"ハンプトンコート宮殿庭園"
という庭園が紹介されていました。
1515年に作庭されたイギリス初の大規模庭園だそうです。

ですが私が注目したのは、庭園ではなくその脇に立つ建物でした。

写真をよく見てみますと、なんと第13話でローズマリーが窓の外を指さした時に描かれていた建物にそっくりでした。
しかもよくよく調べてみると、この宮殿の敷地内には有名な迷路園もあるそうです。

実は18世紀にイングリッシュガーデンが成立する前までは、英国でもイタリア式庭園やフランス式庭園の影響を大きく受けた庭園がいくつも作られていたというわけだったようです。

なるほど、それならば英国をモデルと考えても矛盾は生じませんね。

更によく調べてみると、英国内にはハンプトンコート以外にも多くの迷路園が存在するようでして、ざっと紹介してみても、

・リーズ城
・ブレナム宮殿
・ハットフィールドハウス
・グレンドゥラガン・ガーデン
・ロングリート迷路
…etc

と沢山あるようです。

ちなみに今回調べていくうちに、恐らくシャドーハウスのモデルとなった場所も分かりました。

作者先生の創作活動の支障になるといけないので名指しはしませんが、上記に挙げた中に物語で描写された建物や調度品に似ているお屋敷がありました。
多分合っていると思います。

う~ん、GW前だったら聖地巡礼に行けたのになー…

気を取り直して、また時間ができるまでとりあえずは情報収集していきたいと思います。

さあ、そんなこんなしている間に次回の公開があと数時間に迫ってきました。

この何もないはずのない庭園で、一体どんな冒険が繰り広げられるのでしょうか。
エミリコがあの荷車で何をしようとしているのかも気になるところです。

新時代の幕開けと共に、庭園迷路編がいよいよスタートです。